長野県唯一の第三セクター鉄道・しなの鉄道は開業から現在に至るまで、国鉄が勾配路線向けの近郊型電車として製造した、115系1000番代が主力として活躍しています。
115系1000番代は1997年のしなの鉄道開業に合わせて、JR東日本長野支社・松本運転所*1(以下、モト区)から11本が転入したのを皮切りに、2013年のダイヤ改正に合わせてJR東日本・長野総合車両センター(以下、ナノ区)から転入した2連7本と、2015年の北しなの線開業に合わせてナノ区より転入した3連5本の3グループが存在します。これらは国鉄時代に施行された先頭車化改造や、民営化後及び譲渡後に施行されたリニューアル、そして塗装によってさまざまなバリエーションが存在し、我々おたくの好奇心を引き起こします。
近年は新車・SR1系への置き換えが進みつつあることから、年々数を減らしていますが、それでもまだある程度の勢力を保ちながら北信・東信地方の足として活躍しています。
この車両はTOMIXとKATOよりNゲージ鉄道模型として製品化されており、走ルンですは前者が好きで、現在は8編成を所有しています。
KATO製品はダークグレーの塗装がインクジェット印刷で再現されており、走行性能は良くても近くで見た際の見た目が好きではないこと、赤色の色調が朱色に近く違和感を感じてしまったことから購入を見送ってしまいました…。まぁ湘南色のS3編成が欲しかったら、1000番代の湘南色を買ってきて、それっぽくしてしまえばいいですからねw
長い前置きはさておき、今回は私の所有するTOMIXのしなの鉄道115系を紹介していきたいと思います。
ここで各編成ごとの解説前に、手をかけたこだわりポイントも書いてみようかと思います。
まずドアには銀河モデルの半自動取手インレタを必ず貼り、現車の姿を再現しています。ドア下のクツズリもガレージメーカーのインレタを貼って再現したほか、乗務員扉の把手も同様に再現しています。
乗務員室扉の窓にも表記を貼ったり、トイレタンクの残存するクハにはパーツを奢ったりと、実物の持つ最低限のイメージをなるべく損なうことのないように加工してみました。クモハの前面にはKATOのジャンパ線と、GreenMaxの貫通ホロを取り付けてあります。
また元々塗られているS9編成(自強号色)以外は、おでこの滑り止めを塗装で再現したほか、屋根全体をスエード調スプレーで塗装しました。
動力に関してはM-9モータは信頼性に劣ることから、それを装備した編成はM-13モータへ換装しました。
S1編成
1978年1月 日本車輌製
クモハ115-1004+モハ114-1007+クハ115-1004
開業時に転入した編成で、モト区時代はモトR1編成でした。
模型は現在のしな鉄色を纏う仕様です。
現在発売されているものに素直にS1編成の番号を貼っただけです…。
S3編成
1978年1月 川崎重工製
クモハ115-1012+モハ114-1018+クハ115-1013
こちらも開業時の転入で、モト区時代はモトR3編成でした。
115系の中で真っ先にしな鉄色を纏った編成ですが、2017年に信州ディスティネーションキャンペーンに合わせて湘南色へと復元されました。
模型は115系1000代冷房準備車をベースに、ガレージメーカのインレタを多用してそれらしく仕上げてみました。
S5編成
1980年2月 近畿車輛製
クモハ115-1069+モハ114-1166+クハ115-1212
こちらも開業時の転入で、モト区時代はモトR6編成でした。
譲渡後にリニューアルを施行されなかったことから、2013年にナノ区から転入された編成に置き換えられて初の廃車となってしまいました。
模型はガンメタ地の旧しな鉄色を纏う仕様で、いわゆる旧製品です。動力やライトユニットは現行品と同等品に交換してあります。
S7編成
1978年3月 日本車輌製
クモハ115-1018+モハ114-1023+クハ115-1017
やはりこちらも開業時の転入で、モト区時代はモトR13編成でした。
2017年の信州ディスティネーションキャンペーンに合わせて旧長野色へと戻され、現在に至ります。
模型はS15編成とセットで発売された特別企画品です。
S9編成
1978年5月 日本車輌製
クモハ115-1527+モハ114-1048+クハ115-1223
今現在所有しているものでは、これが最後のモト区より転入した編成で、モト区時代はモトR16編成でした。
2018年に台湾の特急型電車EMU100型電車を模した塗装で出場し、しな鉄色よりも派手な塗装で文字通り異彩を放っています*2。またこの編成のみクハのトイレタンクが撤去されているという、あまり知られていない特徴もあります。
模型は2020年に特別企画品として発売されたもので、元からM-13モータを装備したいるものです。
なお、この編成のクモハは先頭車化改造車*3なので、前頭部のベンチレータがオリジナルのに比べて1つ少ないのが特徴です。
S15編成
1978年2月 東急車両(現:総合車輌)製
クモハ115-1015+モハ114-1020+クハ115-1014
こちらは北しなの線開業に合わせてナノ区より転入したもので、ナノ区時代はN13編成でした。ナノ区におけるこれの1つ前の編成ことN12編成はS12編成として転入しており、そのナノ区時代の姿がKATOから模型化されております。
転入以来ずっと新長野色のまま活躍していた編成で、2022年の4月に惜しまれながら廃車になってしまいました。
模型はS7編成とセットで発売された特別企画品です。こちらには動力が入っていないため、別売の動力ユニットを組み込んで単独で遊べるようにしました。製品化当時はしな鉄ロゴが貼ってあったので、模型でもその姿になっています。後に剥がされた上で純粋な新長野色として活躍していました。
S16編成
1980年3月 日立製作所製
クモハ115-1072+モハ114-1170+クハ115-1215
こちらも北しなの線開業に合わせてナノ区より転入したもので、ナノ区時代はナノN1編成でした。
現車は国鉄時代に横須賀色を一度も纏ったことがありません*4が、リバイバルカラーを増やす一環で横須賀色に塗装されました。
模型は過去に発売された1000代山スカセットより、サハを脱車した上でクリームを再塗装してからそれらしく仕上げました。
パーツが手配できていないため、ジャンパ線や配管付TNカプラー、トイレタンクがないほか、動力もM-5モータを採用したもののままです。これらはいずれ交換して他と揃えます。
S21編成
1978年1月 川崎重工製
クモハ115-1011+クモハ114-1507
2013年のダイヤ改正に合わせて、169系や115系1000代S5編成の置き換えやワンマン列車の拡大用としてナノ区より転入したもので、ナノ区時代はナノN56編成でした。
模型は今年の2月に発売されたもので、ようやく2連の115系1000代が模型の世界で楽しめるようになりました。
この製品はDT-21形台車が大柄なせいでトイレタンクパーツを取り付けると干渉してしまうという問題がありますが、台車側を少し加工することで問題なく走行することができるようになります。
以上、現在所有しているTOMIXのしな鉄115系の紹介でした。
KATOの特別企画品と競合してしまいますが、湘南色やスカ色を纏う編成や、コーララッピングのS11編成などの製品化にも期待したいですね。
2024/03/17 追記
新しく仲間入りしたS3,S16,S21の各編成の記述を追加したほか、画像の差し替えを行いました。
関連記事:所有するしなの鉄道の模型