電化地方私鉄の平均車齢2023

今から9年前の2014年に、中国の鉄道の研究で有名なはいらーある先生が、電化地方私鉄における在籍車両の平均車齢をおまとめになり、ご自身のTwitterやHPで公開されました。

それからの電化地方私鉄はというと、各地で車両の更新が行われたため、全体的な車齢の若返りが達成された事業者が増加しています。よって2014年とは状況が異なるため、各社ともにどうなっているのか気になってしまいました。

 

そこで今回は2023年7月現在における、電化地方私鉄における「電車」の平均車齢を割り出してみました。

調べるにあたり事業用電車や、旅客車でも廃車前提の保留車ならびに運用離脱車と長期における運用離脱車*1は除外しています。軌道線も所有する事業者*2は、軌道線車両またはそれに類するものを除外しています。

最古参ならびに最新車両は、次のように表しています。

特定の編成=※※※F/編成

特定の車両=※※※号車

該当車両が複数の場合=※両

該当車両が編成単位で複数存在する場合=※編成

また上から順に平均車齢の高い事業者からです。

 

1.大井川鐵道 平均車齢60.8歳

最古参=21000系2編成(元南海21001系)

最新=7200系2両(元東急→十和田観光7200系)

 

2.銚子電気鉄道 平均車齢60.7歳(更新計画有)

最古参=2000系2編成(元京王→伊予800系)

最新=3000系1編成(元京王→伊予700系)

 

3.水間鉄道 平均車齢59.7歳

最古参=1000系1001Fほか5両(元東急7000系)

最新=1000系1005Fほか1両(元東急7000系)

 

4.上毛電気鉄道 平均車齢59.2歳(更新計画有)

最古参=100形デハ101号車

最新=700系クハ727号車(元京王3000系)

 

5.弘南鉄道 平均車齢59.0歳

最古参=7000系7011Fほか1編成(元東急7000系)

最新=7000系7037Fほか1編成(元東急7000系)

 

6.養老鉄道 平均車齢57.5歳

最古参=7700系TQ03編成(元東急7700系)ほか1編成

最新=620系D21編成ほか1編成(元近鉄620系)

 

7.近江鉄道 平均車齢56.2歳

最古参=800系807Fほか1編成(元西武401系)

最新=300系301Fほか1編成(元西武3000系)

 

8.三岐鉄道 平均車齢56.0歳*3

最古参=130形5両(元近鉄130形)

最新=270系クモハ277号車(元近鉄270系)

 

9.豊橋鉄道 平均車齢54.9歳

最古参=1800系13両(元東急7200系)

最新=1800系1808F(元東急7200系)

 

10.高松琴平電気鉄道 平均車齢53.7歳(更新計画有)

最古参=1070形1071F(元京急2代目600形)

最新=1300形1307F(元京急初代1000形)

 

11.岳南電車 平均車齢52.8歳

最古参=8000系クハ8101号車(元京王3000系)

最新=7000系2両ほか1両(元京王3000系)

 

12.和歌山電鐵 平均車齢52.3歳

最古参=2270系2273Fほか3編成(元南海2270系)

最新=2270系2271Fほか1編成(元南海2270系)

 

13.北陸鉄道 平均車齢48.8歳(車両更新中)

最古参=8000系8801F(元京王3000系)

最新=03系03-139F(元地下鉄03系)

 

14.能勢電鉄 平均車齢46.6歳

最古参=1700系1737号車(元阪急2000系)

最新=7200系7200号車ほか3両(元阪急7000系)

 

15.アルピコ交通 平均車齢44.3歳(車両更新中)

最古参=3000系モハ3005号車ほか1両(元京王3000系)

最新=20100系モハ20101号車ほか1両(元東武20050型)

 

16.熊本電気鉄道 平均車齢43.4歳(車両更新中)

最古参=6000系6101F(元都交6000形)

最新=03系03-131Fほか2編成(元地下鉄03系)

 

16.伊豆急行 平均車齢43.4歳

最古参=8000系12両(元東急8000系)

最新=3000系3002F(元JR東209系)

 

18.富山地方鉄道 平均車齢43.1歳

最古参=16010系16011F(元西武5000系)

最新=20020系モハ20021号車ほか1両(元西武10000系)

 

19.伊予鉄道 平均車齢42.3歳(更新計画有)

最古参=700系3両(元京王5000系)

最新=610系2編成

 

20.流鉄 平均車齢41.6歳

最古参=5000系5004F(元西武新101系)

最新=5000系5001Fほか3編成(元西武新101系)

 

21.一畑電車 平均車齢39.6歳(更新計画有)

最古参=5000系2編成ほか1両(元京王5000系)

最新=7000系デハ7004号車

 

21.秩父鉄道 平均車齢39.6歳

最古参=5000系3編成(元都交6000形)

最新=7500/7800系17両(元東急8090系)

 

23.富士山麓電鉄 平均車齢38.8歳

最古参=1000系1001F(元京王5000系)

最新=8000系&8500系2編成(元小田急20000形&JR海371系)

 

24.長野電鉄 平均車齢38.6歳(更新計画有)

最古参=8500系T1編成~T4編成(元東急8500系)

最新=2100系2編成(元JR東253系)

 

25.上信電鉄 平均車齢38.0歳

最古参=1000系1001Fほか1両

最新=7000系7001F

 

26.伊豆箱根鉄道 平均車齢36.5歳

最古参=1300系2編成(元西武新101系)&3000系3501F

最新=3000系3506F

 

27.福島交通 平均車齢33.9歳

最古参=1000系1101F(元東急1000系)

最新=1000系1109F(元東急1000系)

 

28.江ノ島電鉄 平均車齢33.7歳

最古参=300形305F

最新=500形502F

 

29.伊賀鉄道 平均車齢33.6歳

最古参=200系203Fほか2編成(元東急1000系)

最新=200系201Fほか1編成(元東急1000N系)

 

30.えちぜん鉄道 平均車齢33.5歳

最古参=8000系8001F(元静岡1000系)

最新=L形2編成

 

31.上田電鉄 平均車齢32.4歳

最古参=6000系6001F(元東急1000系)

最新=1000系1001Fほか3編成(元東急1000N'系)

 

32.箱根登山鉄道 平均車齢28.8歳

最古参=1形モハ103号車ほか1両

最新=3000系3103F

 

33.福井鉄道 平均車齢27.2歳

最古参=F10形735B号車(元Stuttgart→土佐GT4形)

最新鋭=F2000系F2001編成

 

34.四日市あすなろう鉄道 平均車齢25.6歳

最古参=260系モハ261号車ほか3両(元近鉄260系)

最新=260系ク165号車

 

35.遠州鉄道 平均車齢20.6歳

最古参=1000系1002F

最新=2000系2007F

 

36.静岡鉄道 平均車齢7.3歳(車両更新中)

最古参=1000系1007F

最新=A3000系A3011F

 

以上、ざっと出してみました。いかがでしょうか?

まとめてみて思ったことですが、やはり2023年に至るまでの期間で車両更新を行った事業者が多く、平均車齢が若返っているところが多いですね。そのため1970年代後半から1980年代生まれの車両が最古参となる事業者が何社か存在しています。新車を導入できる事業者に関しては、平均車齢が20代とさらに若返っており、特に静岡鉄道はほとんどが新車であるため、平均車齢が7.3歳ととても若いです。比較的新しい中古車を購入したり譲渡してもらえたりした事業者も、平均車齢が若いのが特徴ですね。

そして上位にランクインしている事業者は、昭和30年代から40年代に製造された車両を、諸般の事情から置き換えることが叶わないところが多い結果となりました。資金や補助金の都合のほか、自社線内で運用できる車両がないという事情もあるため、一概には言えませんが、いずれも厳しい中で奮闘していると言えましょう。しかしその中でも車両更新を表明している事業者が何社か存在するため、出来る限り老朽車を淘汰し、安定した運行や利便性向上に努めている様子が伺えます。

蛇足ですが、1形式で統一している事業者は、同一形式の中から最古参と最新が出るという、これまた当然の結果になりました。

またまとめている過程で筆者が気になったのは、熊本電気鉄道のように、車両更新が中途半端な事業者の存在です。同社は老朽化した元都交6000系を2本所有していますが、うち1本しか置き換えの対象になっておらず、結果として老朽車が1本だけ中途半端に残存してしまうことになります。1本だけ違う車両が残存していると、整備面や運用面でも支障を来たしてくることも考えられるため、以後はどのようにやりくりしていくのか非常に興味深いところです。

次回は置き換えを公言している事業者が、老朽化を淘汰した後にまとめてみたいと思います。

今回は以上です。

*1:つまり本線を走行できない車両

*2:福井鉄道を除く

*3:参考:三岐線54.6歳,北勢線57.3歳