安中のトキ25000形

去年の10月15日は影が薄いながらも日本の産業を支え続けた、東邦亜鉛の安中製錬所と小名浜製錬所を結ぶトキ25000形貨車の運用が終了するという出来事がありました。

これは安中製錬所の焙焼炉の稼働を停止し小名浜製錬所へ統合することによって亜鉛精鉱を輸送する必要がなくなるためで、日本で唯一無蓋貨車を用いた貨物列車もこれで無くなってしまう見込みです。

 

f:id:mc127_100:20211016130816j:image

 

2018年3月に鉄道文化むらへ遊びに行ったときに撮影したものが出てきました。

このトキ25000形は国鉄が製造したものとは大幅に異なる東邦亜鉛の私有貨車として造られたものでした。

台車やブレーキ装置に廃車になったクム1000形車運車*1のものを再利用したため95km/hでぶっ飛ばせるというスペックを持っていたり、カーダンパーで荷卸しすることから内部が滑落しやすいステンレス張りだったりと、国鉄のものとは異なる独自色が強い仕様になっています。

手ブレーキハンドルの位置がフットブレーキと同じ位置に付いていて、制動手用の手すりやステップが残った設計になっているのが面白いですね。

現在は持ち主である東邦亜鉛が再利用を断念したことから、徐々に解体されてしまったようで、近代的なトキ25000形は過去のものとなってしまったそうです。

 

2023/07/26:追記 今月に入りTwitterにて、トキ25000-1号車が残存しているとの情報がありました。よって除籍されているかは不明ですが、車両自体は1両のみ残存しているのだそうです。

*1:ピギーバック輸送用貨車