昨日はロマンスカーミュージアムを訪問した後に、その足で相鉄かしわ台駅隣接のかしわ台車両センターへ保存されている車両を見に行きました。
同所は自社の発展に貢献した歴史的な車両を7両保存しており、いずれも気軽に見学することができるのがうれしいですね。
正門で守衛に許可をもらうと、こちらの3号蒸気機関車とハ24号客車を見学することができます。
3号蒸気機関車は、相鉄の前身である神中鉄道が1926年に汽車会社へ発注したもので、いわゆるCタンクです。1949年に小名浜臨港鉄道*1へ譲渡されたのちに、保存のために返還されました。
ハ24号は1926年に同じ汽車会社で製造された2軸客車で、相鉄廃車後に三岐鉄道から別府鉄道へと渡り歩き、別府鉄道の廃止後に保存のため返還されました。
以前「切符これくしょん」にて、ハ24が返還されたことを記念する乗車券を紹介しましたので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
ハ24号の車内は自由に見学することができます。
美しく整備された車内は、まるで工芸品のような趣があります。
敷地外からは5両の電車や機関車などが見学できます。
こちらは6000系のモハ6001号とモハ6021号です。
6000系は1961年に相鉄初の4ドア通勤車として登場した電車で、独特の側面の窓配置は後に長野電鉄0系OSカーが同一のものを採用しています。
保存されているもののうち、トップナンバーの6001号は普通鋼製の車体ですが、6021号はアルミ車体の試作車として登場したため、銀色に輝く車体が美しいですね。前者は近年まで青系の旧塗装を纏っていたのが、整備を受けてからは夕張メロンと呼ばれる緑系の塗装へ変更されました。
6021号は道路から見やすいところに保存されているため、独特の構造の台車を間近に見ることができます。
なお6001号はこれと異なる空気バネ台車を履いています。
6000系6021号の後ろには、モニ2000形2005号車が保存されています。
こちらは元々国電を譲り受けた2000系として旅客輸送に従事していましたが、新車の登場により事業用車へと改造され、まずは荷物電車として使われました。
後に架線検測車と化した2023号などと共に事業用車として活躍し、7000形を改造した後継のモヤ700形が登場すると引退しました。その際にこちらの2005号車が保存車に選ばれました。
その後ろにはED10形電気機関車ED11号機と、トフ400形無蓋緩急車トフ400号が保存されています。
ED10形は1952年に東洋電機で造られた電気機関車で、同社が製造した機関車に特有の丸みを帯びたスタイルが特徴的です。相鉄は砂利やセメント、米軍基地への燃料などの貨物輸送を行なっていたため、それらの貨車の牽引に活躍し、貨物が廃止されてからは電車の搬出入などの事業用に使われました。
トフ400形は1928年に造られた無蓋緩急車で、川砂利を積んだ貨物列車へ緩急車を連結するために、少しでも多く砂利を詰めることを目的としたため、このような形状となりました。同形の無蓋緩急車は川砂利輸送を行なっていた西武や小田急、採石輸送を行なっていた東武などにも在籍していました。
砂利輸送の廃止後は純粋な緩急車として使用され、1994年の廃車まで活躍しました。
以上、相鉄の歴史を語るのに欠かせない貴重な車両たちです。これだけたくさん維持するのは大変なことかと思いますが、いつまでも残して欲しい貴重な遺産ですね。
*1:現在の福島臨海鉄道