画像フォルダより、2017年8月の小湊鐵道五井機関区公開時に撮影した保存車が出てきたので、こちらで紹介したいと思います。
五井機関区は内房線と小湊鐵道が接続する五井駅構内に存在し、狭いながらも中には貴重な車両が何両か保存されています。
敷地内に入ってすぐのところには3両の蒸気機関車が保存されています。
かつては露天のまま保存されていたものの、現在は屋根がつけられています。
右側と真ん中にいるのはアメリカ・ボールドウィン社製の1号機と2号機で、プレートがないのが1号機です。
1924年に製造番号57776号および57777号として造られ、小湊鐵道の工事用に輸入されました。それ以降は1956年に廃車されるまで活躍していたとのことです。
左側にいるのはイギリス・ベーヤーピーコック社製のB104号です。
1894年に当時の日本鉄道向けに造られたもので、同型機は東武鉄道にも在籍していたことが有名ですね。元はテンダ(炭水車)を持つ形態でしたが、のちにこのようなタンク機関車へと改造されました。
1946年に小湊鐵道へ譲渡され、1950年まで活躍していたとのことです。
庫内にはキハ5800形気動車の5800号車が保存されています。
元々は1914年に当時の鉄道院が製造した電車を三信鉄道*1が譲り受けた買収国電で、1960年に譲渡を受けて気動車へと改造されました。
同形式は5800号車と5801号車の2両が在籍し、1977年に5801号車が廃車になってからは予備車として在籍していたものの、1997年に廃車・部品取り車として保管されていました。
2019年には市原市の指定文化財として、台帳や修理簿などと共に登録されたのが記憶に新しいですね。
やはり元電車ということもあってか、正面はそれらしい見た目です。
灯具類は後天的な改造でキハ200形に合わせた位置になっています。
運転席側の窓枠にみえている朱色の塗料は、かつて全体が朱色一色だった頃の名残かと思います。
元は電車であったことから車体が重いため、その非力さを補うように台車の軸受はコロ軸受へ改造されています。
上総中野方には改造を担当した日本車輌の銘板が付いたいました。
運転台や室内はこんな感じで、クラシカルな感じが印象的でした。
座席は背ズリがビニール張りで座面がモケット張りという、面白い仕様になっていました。
広告スペースには現役時代の写真が掲示されていました。
表記類はこのような感じです。
K.T.K.のロゴは切り文字となっています。
先述の通り廃車後に部品取り車にされたため、エンジンや変速機は外されています。
2枚目をご覧いただくと台車に砂箱が設置されているのがお分かりいただけるかと思いますが、これも低出力なのを補うための工夫なのだそうです。
車側灯もレトロな形状のものが付いています。
五井方の前面は劣化が進行しているように思えました…。
古びた車庫の片隅に放置された車両…みたいで風情がありますね。
庫内には貴重な木造貨車もたくさん保管されています。
1枚目は敷地外から撮影した無蓋貨車のト10形で、現在は里見駅の側線で留置されています。
2枚目は倉庫として使われたいる有蓋貨車で、この他にも車輪付きで保管されているものもあるみたいです。
こちらは保存車ではありませんが、部品取り車として留置されているキハ200形の209号車です。
お話を色々聞かせてくださった中の人曰く、整備士の人が減っていることや非冷房車であることから、部品取り車に選ばれてしまったのだそうです。
キハ40形の導入によってキハ200形の置き換えが進むことから部品取りに余裕が出来ることが考えられるため、そう遠くないうちに撤去される可能性も否定できません…。今のうちにしか見れないと思います。
五井機関区はコロナが落ち着いたら、改めて機関車を見に訪問してみたいと思います。