都営12-000形試作車(00F)

新年最初の投稿は、東京都豊島区に所在する「千早フラワー公園」園内に保存されている、都営地下鉄12-000形の試作車こと00F*1を紹介いたします。

現在はドアが破損した影響で見学が不可能な状態ですが、撮影した2017年においてはまだ自由に見学が可能でした。

 

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向かって左側が12-001号、右側が12-002号という配置で置かれていました。

量産車である01F以降の編成はアルミ合金製車体を採用したのに対し、この00Fは軽量ステンレス車体を採用しているうえ、前面デザインも当時の流行を取り入れたものとなっており大きく異なります。

また写真がありませんが、車内も量産車とは異なり、車端部に冷房の機器スペースがある圧迫感を感じるものとなっていました。


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ホームに据え付けられているうえ、周囲を高い金網に囲まれていたので撮影が難しかった記憶があります…。


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乗務員室はこのようになっています。

上が公開されていた12-001号、下が集会所と化していた12-002号で、後者には外された吊り手が放置されていました。


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車両の諸元や12号大江戸線の概要を示した説明板もありました。

10号新宿線とのトンネル断面を比較した図は、漫画こち亀96巻収録の「両津線本日運行⁉︎の巻」でも描かれたことがありましたね。


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こちらは脚立を用いて撮影した12-001号の屋根です。

ヒューズ箱は空っぽでした。

パンタグラフEF200電気機関車新京成8900形が用いていたようなシングルアーム式を小さくしたものが搭載されているようです。


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こちらは同様に撮影した12-002号の屋根で、こちらもヒューズ箱は空っぽでした。

パンタグラフは小型の菱形が搭載されているようです。


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妻面には何も書かれていない検査表記がありました。

ひとまず開業したら中間車を新造し車籍を登録した上で、営業用に使用するつもりだったのでしょうか?

 

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屋根には謎のアンテナの台座やコードがありました。

どうやら1号浅草線の馬込工場や本線で試験をしていた際に、パンタ同様に無線アンテナも仮設のものをヤグラの上におっ立てていたそうで、この無造作に切断されたコードはそのときのものと思われます。


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12-002号の窓はパワーウィンドウだったらしく、そのボタンがありました。


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説明板に描かれた路線図は計画時のものらしく、いくつかの駅は仮称のままで書かれています。


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前面オオイはFRP製ですが劣化が目立ちます…。

 

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側面からは一応台車を観察できました。

都交における形式をT-12LIというらしく、12-001号と002号とでリニアモータ(リアクションプレート)の支持方式が異なるのだそうです。

コンクリートなどで舗装されていない湿った地面に面しているからか、サビによる劣化がひどいように思えました。

 

これら12-000形試作車は現在も非公開のまま放置されているらしく、ステンレス製車体かつ屋根付きの保存場所とはいえ、残念ながらこのまま劣化が進むものと思います…。

*1:都営地下鉄の車両のうち6000形10-000形10-300形、12-000形、12-600形は車両番号の百の位と十の位を用いて編成を表しているため、ここでは00Fとして解説を行うものとする