仕事が多忙な影響で、なかなか記事が書けません…。
前回に引き続き、今回も加悦SL広場の保存車を紹介したいと思います。タダでさえ画像が多いので、機関車以外の動力車に絞ってご紹介したいと思います。
キハ101
1936年に加悦鉄道開業10周年を記念して導入された気動車で、当時の重役が下津井電鉄などへ気動車の視察を行ってまでして入れたものなのだそうです。当初はガソリンエンジンを搭載したガソリンカーとして登場し、戦時中に代燃車に改造されたのを経て、戦後にディーゼルカーへと改造されました。
柵があって判り難いのですが、この車両は片ボギー式と呼ばれる、片側だけボギー台車を装着する珍しい形態をとっています。
要は有名どころで言うと、朝倉軌道の違法ガソリンカーと同じ車輪配置というわけです。
連結器は独特の形をした簡易連結器で、上部にあるてこを起こしてから垂直に倒すと、ピンが外れてナックルが開きます。
キハ51
1936年に芸備鉄道(現、JR芸備線)キハユニ18として登場し、戦時下の買収で国鉄にキハユニ40921となったのちに船木鉄道キハユニ51となり、1962年に加悦鉄道にやってきました。
元々偏心台車を履いていたらしいのですが、1972年に江若鉄道キハ22の部品を用いて機関や変速機共々交換されています。
加悦鉄道で現役の頃は荷室仕切が撤去されていたらしいのですが、1994年の補修時に復元されて現在に至ります。
機械式気動車なので、クラシカルな運転台が特徴的です。
車内の幕板にはクラシカルな日本車輌の銘板が目立ちます。
キハ08 3
種車はナハ22459→オハ62 130で、車体幅やベンチレータ等が地方鉄道定規に引っかかるものの、加悦鉄道にはトンネルがないことから特例措置で動かしていたのだそうです。加悦鉄道入線にあたって便所と洗面所を撤去した上で荷物室としたため、事実上のキハニとなりますが、形式の変更はされていません。また国鉄時代の修理履歴には、根室本線で動物と衝突した記録があるらしいです…。
車体には国鉄時代の銘板が今も残ります。
この車両の見所は、車体そのものもそうですが、台車にも注目してみてください。
北海道の車両メーカーである泰和車両で造られたDT22形台車という、とても珍しい台車を履いています。
キハ10 18
我国の国鉄初の量産型液体式気動車であるキハ10系の両運転台・トイレ無し仕様のキハ10を譲り受けたもので、キハ08共々加悦鉄道末期の主力車両となっていました。
この車両に限って劣化が著しく、ホロ枠が腐食して破損していたり、Hゴムや車体も劣化していたりしています…。また車内は、あの劣悪な座席を撤去したり乗務員室仕切を潰して休憩所や倉庫にしていたらしく、全く原型を留めていません…。加悦SL広場は、随分と勿体無いことをしましたね…。
特徴的なDT19/TR49台車とDMH17エンジンです。
噂通りの劣悪な台車だけに、加悦鉄道の軌道上における乗り心地もかなり悪かったのかなぁ…と思います。
こちらも国鉄時代の銘板が今も残ります。
南海1201形 モハ1202
戦前の南海を代表する電車の一つで、最後まで貴志川線(現、和歌山電鐵)で現役だった車両のうちの1両でした。
加悦SL広場に運び込まれてからは、併設のカフェ・レストランの客室の一部として利用されていたらしく、座席を撤去してテーブルを置いていたそうです。
しかし屋根にシートをかけたり、錆びて尾灯に大穴が開くレベルで劣化が進んでいるので、閉園後の先行きが思いやられます…。ココで言いたくないのですが、最悪の場合は一部の部品を残して解体…なんて結末が待ってそうです。
車体には南海時代の検査表記があります。
園内には1201形の台車が1両分運び込まれており、片方にはブレーキロッドも一緒に置いてあります。
モータが付いていますが、コレを使って加悦SL広場オリジナルの車両でも造るつもりだったのでしょうか…?
京都市電のN電
駐車場の片隅にポツンと置いてあるこのN電は、元々宝塚ファミリーランドに置いてあったもので、閉園に伴い加悦SL広場にやってきました。
やはり状態はとても悪く、貴重な車両であることを顧みられることなく解体・撤去されてしまいそうな気がします…。なんとも勿体無いですね…。
以上を振り返ると、重役が他者を視察してまで導入した10周年記念の気動車と、クラシカルな機械式気動車は大切にされているものの、自社で使っていた元国鉄の気動車や他所から運び込んだ電車は耐久消費財同然の扱いを受けていて、ボロボロになったらポイ…されてしまいそうな印象を受けました。特にキハ10の車内が原型を留めていないことに関しては、その程度の認識なんだろうなぁと思ってしまいます。
ちょっと辛辣なコメントになってしまいますが、歴史ある鉄道車両を大事に保存するのが売りの施設なのに、どうしてこうしてしまうのかな…と思ってしました。
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